「…もう、あと半年くらいしかないねんな」

光さんはそう言うとあたしをそのままギュッ、と抱きしめた。



あたしの体重が全て光さんの身体にかかる。



…重くないのかなあ?



なんて、ムードも何もない事を思いながら耳に当たる光さんの胸。

微かに鼓動が聞こえて。



春の日差しがあたし達を包んで。



このままずっと一緒にいられたらいいなあ、なんて。



「よいしょ…」

光さんはそんな思いを無残にも壊した。

起き上がってあたしに付いた砂を払う。

「…人が来たから」

光さんがチラッと視線を向けた先には。

カップルが道端に停めた車から降りてきていた。