月水金と朝迎えに来る、見慣れない男子の姿に、母さんが気付いたのは六月も半ばに入った頃だった。
「夢子、あの子誰? 翔くんじゃないのね?」
「えっ、あぁ、百地?」
「百地?」
「そう、百地忍。あたしのハトコだよ」
母さんの顔色が変わった。
「もしかして、百地知波の息子?」
「なんだ、母さん、百地の父さんのこと知ってんだ」
「父から聞いてはいたわ……、会ったことは一度もないけど」
「おじい様の妹が百地の家に嫁いだって、翔のお父様が言ってた」
「懍(りん)おば様、彼女は巫女……」
遥か遠くを見つめるように、母さんが呟いた。