放課後、陸上部の記録会。


ユタに無理やり屋上の文芸部へ引っ張ってこられたけど、あたしは校庭の様子が気になって仕方がない。

部室の外へ出て、屋上のフェンス越しに校庭の様子をじっと見つめていた。


「夢子、どう? 二人の様子は?」


背中越しにユタの声がした。

どうやら、部室に戻ってこないあたしを心配して、様子を見に来てくれたらしい。


「う~ん、良くわかんない。

でも、翔も百地も、走ってる様子、ないんだよね」

「記録会って、今日じゃないんじゃない?」

「でも、上級生はタイム計ってるみたいだよ」


あたし、なんか嫌な予感がした。

なんか、不条理なことが起こってる。



翔の怒りが伝わってくるよ。