次の朝、あたしはいつもより三十分も早く起きた。

百地が迎えに来る前に出かけるため。

だって、超恥ずかしい。

いくら夢の王子様だって、まだ会って3日目だよ?


でも、いたの、あいつが。

百地がもう家の前で待っていた。


「お前な、そんな小手先の知恵使っても無駄。

全部お見通し」

って、頭をぐしゃっと撫でられた。


「な、なんで分かったの?

あたしが早く出ようって思ってるって」

あたしの心臓、もうバクバクだよ……


「なんとなく、な。

俺も早く行こうって思ったし」


「百地君、迷惑じゃないの?

こんなの、ほんと、何の特にもならないよ?」


「俺も、お前のナイトだろ?」


「はぁ?

あたしなんかに、ほんと、ナイトなんて必要ないよ。

あんなの、翔が勝手に言ってるだけだよ。真に受ける必要なんかないよ」

翔にしても百地にしても、なんでこんなあたしなんかを必死に守ろうとするのかな?


「お前、俺が迎えに来るの、そんなに嫌なの?」


「……嫌な訳じゃないけど……」


「じゃぁ、いいじゃん。俺がいいって言ってんだし」


そう言って笑う百地を前に、もうあたしに返す言葉はない……