二時限目の部活説明会の後、翔と百地は一緒に陸上部の個別説明会の教室へ出かけていった。
すっかり二人は、打ち解けた様子だ。
あたしは仕方なく、文芸部の教室へひとり寂しく向かうことにした。
「田中さんも、文芸部希望?」
と、声をかけてきたのは翔の隣りの高橋君。
「うん、そうだけど……」
「奇遇だな、僕も文芸部。将来、推理小説家志望なんだ」
「ふぅん」
「一緒に行こうよ」
「……」
あまりに突然、かつ驚きのお誘いに言葉を失った。
「ねっ♪」
無理やり手を掴まれて、引きずられるように教室を出る。
見かけの割に強引な高橋君。
なんか、嫌な予感がする。
推理小説家志望とか言っちゃって、要は何でも知りたがり屋ってことじゃない?
あることないこと首突っ込んで、あたし達の関係に興味もたれたら、面倒だ。