あたしは勇気百倍、翔の前を颯爽と歩いて教室に入った。
目指す先は、百地のところ。
真っ直ぐと目を見て、はっきりと言った。
「逃げたりして、ごめんなさい」
「いや、いいよ、わかってるから」
優しい瞳に、やっぱりちょっとドキドキするけど、目を逸らすわけにはいかないの。
「百地、おかえり。待ってたよ!」
そう言葉にすると、あたしは思わず百地に抱きついていた。
「ちょ、ちょっと、夢子?」
流石の百地も、驚きのあまり余裕がない。
「ふふ……おかえりのハグ」
あたしはニンマリ顔を上げる。
「夢子、先手一本!」
後ろから翔の声が響いた。
そしてあたしは、優しい気持ちに包まれていた。