教室の中では、翔があたしを追いかけようとする百地を引き止めていた。


「まぁ、まぁ、ここは元ナイトにおまかせ! だな。

今、お前が行ったって、夢子は自分の気持ちを持て余すだけだ。

だから、ここは、俺に任せとけって。

お前だって、夢子の気持ちはわかってるんだろ?」


「嗚呼。

まぁ、嬉しい誤算というか、あんな風に避けられるなら、まだ気付いてもらえなくても良かったんだけど……」


「何? 何? 二人して、何わかってんの?」


「お前、鈍いなぁ~わかんないの?

夢子は今更、百地への恋心に気付いちゃったわけだよ」


「はぁ~ん、成る程。それで合点がいく」


「何だそれ? ほんと分かってんの、ユタ?」


「僕にだって、恋する乙女の気持ちくらい察しはつきます。

恋する気持ちは、男も女も同じですから」


って、ユタの熱い視線は、可哀想にも届かない翔に向けられていたわけだけど……