百地の声を聞けた喜びと安心感。



今までの不安が嘘のように消え、あたしの心は不思議な気持ちで満たされていた。


百地に触れらた恥ずかしさ、心に響く高鳴り。

季節外れの桜の開花が、あたしの心を開放したのだ。



「夢子、顔が赤いよ? 熱でもある?」


翔に言われて、我に返った。




「翔、あたし、何だか変。ドキドキする」




「ドキドキって、まだ百地に会ってもいないのに? って、夢子?」




「あたし、百地に恋したみたい」




「へっ? って今更……」



 
「だって、今までは百地は突然現れた王子様で、何だかいつの間にか対の者にされて、あたしの気持ちは置いてきぼりだった。

でも、やっと気がついた。

あたし、百地に恋してるみたい!」