師走。


あたしは何故か、百地と百地の父知波とママと四人、車に揺られて根来へ向かっていた。


翔一家はかき入れ時のクリスマスを終えてから根来へ帰省する予定。

なので、あたし達は一足先に、根来へと出発したのだ。


「いやぁ、風ちゃんに会えるなんて、ほんと嬉しいなぁ」


車を運転しながら、楽しげに話す知波さん。

長や心波やおじいちゃんの印象が強すぎて、根来の男はみんな変わってるって先入観のあったあたしは、知波さんがあんまり普通のおじさんでちょっと戸惑っていた。

「僕はさ、親父と山に篭っている時も、人里が恋しくて親父の目を盗んでは根来の里で友達と遊んでたんだ。

見つかった時は、そりゃもう死ぬほどのお仕置きが待ってたんだけどね」

そう言って笑う知波さんは、悪戯な少年のようで、あたし思わず笑っちゃった。


「風ちゃんの娘さんと、うちの忍が同級生で、おまけに二人が対の者だなんて……

なんか複雑な気持ちだな。

こうしてまた、根来に足を踏み入れて親父達にまみえるのもさ……」


「わたしだって、同じです。

一度は根来を捨てた身なのに、またこうして戻ろうとしてる……」



「それって、あたし達のせいなの?」



なんか、二人の言葉には、根来に戻ることにとてつもない抵抗があるように聞こえたのだ。