「なぁ、百地、母さんが明日お前んち行くって知ってた?」




翔が百地に話しかけてるのが聞こえた。


「あぁ、俺が頼んだ」

「で、誰が髪切るんだよ、マサカお前じゃないよな」

「あぁ」

「誰だよ」

「俺の弟」

「お前、弟いたのか……、なんか、初耳じゃね」

「博(ヒロ)は足が悪くて、外に出られないんだ……」

「あぁ、それで……」


翔は、それっきり口をつぐんだ。

それであたし達は博君のこと見たこともなければ、話題にしたこともなかったのか。


翔と同じく、あたしも心の中で頷いた。