「夢子、おはよう」


今日は夏休み明けの始業式。

翔と百地が家の前で、アパートの二階から降りてきたあたしに声をかけた。


「おはよ……ふぁ……」


あたしは、小さな欠伸を一つ。


「何だ、また眠れなかったの?」


翔があたしの顔を覗きこんだ。


「うぅん、寝たよ、でもまだ眠いだけ」

「さ、行くぞ」


と百地があたしの頭をくしゃっと撫でる。

あぁ、何も変わってない、何も変わらない。


良かった。


あたしは、心の中で小さく呟いた。