夕食は茄子の味噌炒めと蕪のサラダ、胡瓜の酢の物。そして屋敷の下の清流で採った岩魚の塩焼き。
「で、三人揃って百地心波の姿を見たと」
長が食後のお茶を啜りながら呟いた。
「五十、五年ぶりかのう……あやつに会うのは……」
「のう、心波?」
確信に満ちた声が長の口から発せられた。
まるで、心波がそこにいるみたいに。
「治来、全てお見通しか」
長の屋敷の大きな梁のある天井から、黒い大きな塊が舞い降りた。
突然の来訪にピクリとも動じない長。
(うそぉ~ 忍者みたい!)
長に対面する心波の顔にも、同じような深い皺が無数に刻まれている。
彼もかなりの歳なんだ。
でも、風貌は似ているけど、その荒々しさが全く違った。
静かに構える長、目に苛立ちを浮かばせて、睨みつける心波。