お昼少し前に到着した山の上の広場は、海を一望できる展望台になっていた。
この場所には、山道を迂回すれば車でも上ってくることができるのだそうだ。
「夢子さんは、お帰りは車になさった方がよろしいかと」
広場脇の駐車場には、あたしの身体を心配した佐藤さんが、すでに車で先回りして待っていた。
あたしは、いつもの運動不足がたたって、そろそろ足も痛かったし。
息も上がって、百地にすがりつくように歩いてる有様だったから、その申し出に心底ホットした。
でも、身体の疲れとは対照的に、心は不思議と軽く、高揚感に満たされ、鼻歌さえも漏れてしまいそうなほど爽快だった。
あたしは、そのアンバランスに戸惑い、答えを求めて百地の顔を覗き見た。
「そうだな、そうした方がいい。無理すると熱が出るぞ」
百地は全てお見通しだ。