「ゆめこぉ~待ってよぉ~」
今日は中学の入学式。
あたしは張り切って家を出た。
後ろから追いかけてくるのは、幼馴染みの翔(カケル)。
幼稚園から一緒の大の仲良し。
っていうか、もう家族みたいなものかな。
何でも知ってるし、何でも話せる。
あたしの姉妹であり、親友であり、そしてナイトでもある。
何でナイトかって?
「何張り切ってんのさぁ~」
「だって……」
「あ、夢子、またぁ~」
「うん」
あたしは小さく頷いた。
「うん、見たの、夢。あたしの王子様がこの中学にいるっ!」
「でもさぁ、夢子、小学校入学の時も、そんなこと言ってたよね?」
「うん、あの時はまだ小さかったから、ぼんやりしてたけど。
でも今回は違う。凄いはっきりした夢だった。
王子様が、こう、あたしの手を取って、
『僕が君を守るから……』って、あたしを優しく見つめてくれたの。
王子様の顔もはっきり覚えてる。
その手の感触だってまだ残ってる……」
高揚する気持ちを押さえ、あたしは唇をきっと結んだ。
「そっか、じゃ、仕方ないなぁ。
急ごう、夢子!一番乗りして、待ってなくちゃ!」
翔はにっこり笑うとあたしの手を取って走り出した。
いつもあたしの気持ちを最優先に守ってくれる。
だから翔はあたしのナイト。
それには、ちょとした秘密もある。