『ではこのお姉さんがイルカにエサをあげてくれます!』


 ククッ…緊張してんなぁ。

 恐る恐るだけどちゃんとエサをやったところを激写。

 あとで送ってやろう。

 拍手を受けながら美華が戻ってきた。


「はう、緊張したぁー…」

「お疲れ。上手く撮れたぞ」

「え?」


 ちょうどメールが届いたみたいでケータイをいじる。


「撮ってたの!?」

「おー、ビビってる顔もバッチリだ」

「もう…っ、ありがとう」


 イルカショーが終わってまた少し回る。

 もう夕方か…そろそろ出ねぇとな。


「斗真、海行こう?」

「ん?ああ…そうだな」


 前に来たときみたいに海に行く。

 でもって、また砂浜に文字を書く美華。

 …嫌な思い出でもあるんだから蒸し返すなよ。

 あのときと同じように『みはな とうま』と書いてる。

 けど少し違って、名前と名前の間にイビツなハートが書かれていた。

 …まあ、恋人だし。


「美華、座ろうぜ」

「うん」


 砂浜に座って足の間に美華を座らせる。