「次のところ行こう?」

「おー」


 そんな感じで説明されながら回った。

 説明する美華の顔はキラキラ光っていて面白かった。

 半分くらい回ったところで昼になった。

 ぐう、と小さく腹が鳴る。


「ご飯食べよっか?」

「…おー」


 ううわ…俺だっせぇ。

 レストランに入ろうとする俺と休憩スペースに行こうとする美華。


「美華、こっちだろ?」

「ううん、こっちでいいの。
 こっち来て?」


 妙にでかいバッグ。

 まさか…いやいや、不器用だから無理だろ。

 けどあっちは食べられるスペースでもあるし…。

 椅子に座ると美華がバッグの中を漁りだした。

 そして出てきたのは…弁当箱だった。


「あの…1回でも、作りたくって。
 口に合えばいいんだけど…」

「…これ、お前が……?」

「…うん」


 おにぎりにサンドイッチ、それからウインナーやスクランブルエッグ。

 プチトマトやブロッコリーも入っていて色鮮やかだった。

 美華…不器用なのに。

 前に作りたいって言ってたの、覚えてたんだな。