1月。
年が幕を開け、また新たな1年が始まる。
俺の名前は『山本 心一』。
今年の成人式で二十歳を向かえる。
「ピンポーン。」
朝、俺は専門学校の友達の家に向かった。
「いらっしゃーい。」
ドアが開くと、そこにはオバチャンが笑みを浮かべていた。
「心ちゃんごめんね~、豪は今朝風呂中なんだあ。中入って温まってて。」
俺は地元から離れた専門学校に通っている。
自分で着物の着付けが出来ないので豪のお母さんに頼んである。
コタツで温まっていると豪が風呂から出てきた。
「おう、来てたのか。」
「まあな。」
成人式にはまだ時間があるので、少し小話しをした。
豪とは知り合ってまだ1年も立ってないが、まるで家族のような仲になっていた。
「そろそろ着替えるよ~。」
オバチャンが言った。
「はい!これで完了。」
着物の着付けがやっと終わった。
なんだか少しキツい…
俺が生まれてもう20年かあ…
でも二十歳になるからって気を抜いちゃいけないんだ。
二十歳になる…大人になから気を引き締めてかなきゃ行けないんだ。
この着物のキツさはそんな思いを表しているのかな。
「おい、心。なに鏡見てボーっとしてんだよ。自分の顔に見とれてんのかよ?」
そう言って豪は笑って冷やかしてくる。
「そんなんぢゃねえよ。20年なんかあっとゆう間だったなあ…と思ってさ。」
「あ~たしかにな。」
「そんな青春話しはいいから早く準備しちゃいなさい!」
オバチャンが涙ぐみながら言った。
きっと豪が大人になるのがものすごく嬉しいんだろうな。
成人式が執り行われる場所に着くとそこにゎ俺の知らない人ばっかり。
まぁ地元から離れてるしそれが普通か…。
成人式とだけあり、人が多い。
写真を撮ってる人達もいればヤンキーみたぃのがワーワー騒いでる。
俺と豪ゎ専門学校の友達と話していると、
「ごぉ~う!!」
と、豪の腕を引っ張っている女の子がいる。
これゎ豪の彼女の
【新山 秋奈】だ。
かゎぃくて少しギャルの女の子で豪にゎピッタリな感じだ。
「豪達って長いよなあ~高校2年から付き合ってんだよ。」と友達の
【橘 詩栄】が言った。
そして豪と新山ゎ二人でどこかへ行ってしまった。
そして成人式が始まった…。
約2時間後…。
変なオッサンの話しやらなんやで成人式ゎ幕を閉じてしまった。
あっけないもんだ。
俺ゎ詩栄と一旦別れを告げ、豪ゎ新山と一旦別れを告げた。
そして俺と豪とオバチャンでお祝いのご飯を食べに行くんだ。
ちょっと良い雰囲気の
高そうなレストランでオバチャンがお祝いしてくれるらしぃ。
「うわーっ!!高そうな店だなぁ。」
と、豪ゎ子供みたいに興奮してた。
「オバチャン、俺まで一緒に来ちゃって良かったの?豪と二人っきりの方がぃぃんぢゃない?」
俺ゎ少し遠慮ぎみだった。
「何言ってんのよ!!心ちゃんも家族なんだからあたりまえでしょ!!」
オバチャンゎ俺の二の腕を軽く叩き、そう笑顔で言ってくれた。
俺ゎ一瞬泣きそうになった…。
これが母親の温かさなんだと。
10年前の9月。
俺の母親の不倫が発覚した。
その相手ゎ父親の親友だった。
それから母親ゎ俺と妹を残し家を出て行った。
妹ゎおばあちゃんの家に住むことになり、学校も転向した。
俺と父親ゎそのまま家に住み続けた。
8年後。
俺ゎファッション関係の仕事に尽きたいがため、新潟から東京の方へ一人暮らしを始めた。
自分の夢を叶えることと父親を支えてあげたいと。
その思いを込めて…。
そして今に至る。
レストランでゎどれもこれも高そうな物ばっかりで、俺ゎ何を頼んでいいのか分からない。
恥ずかしながら
こんなレストランゎ始めてだ。
そんな困った様子の俺を見たオバチャンゎ
「心ちゃん、コース頼もっか?」
と微笑みながら言ってくれた。
まるで本当のお母さんのようだ。
少し鳥肌がたった。