荷造りをしようと宿舎の前まで来たとき、見覚えのある人影が近づいてきた。


アイツは私の目の前に来たとき…


私を抱きしめた。



「…っ」

「約束だぞ。」



忘れてたわけじゃないんだ。

ただ、アイツは試合が終わったらすぐに来るんだろうって思ってたから、ちょっと拍子抜けしてるだけ…




ルールや決め事を守るのは、スポーツの世界では絶対のこと。
1度決めたけとは守らなきゃいけない。




私は坂木が好きだけど、彼は多分何とも思っていない。


それに…
私も彼を苦しめた原因のひとつみたいだし…





この気持ちは心の中にしまっておこう、そう思ったんだ。







私はゆっくりとアイツの背中に手を回した。



私が手を回したのを確認すると、アイツはさらに腕の力を強めた。