結局、ロスタイムにもアイツに駄目押しの1点を入れられ、前半が終わって3-0。

アイツは1アイシスト2得点の大活躍だった。




ハーフタイムのロッカールームは、重しが乗ったような空気。




そして、監督が彼を呼んだ。


「後半は佐々木に代えて、坂木を使う。」



その言葉に彼も、私も驚いた。

0に近かった可能性が、10にも20にも膨れあがった瞬間だった。



彼と目があった時、私は笑顔で頷いたんだ。

そしたら、彼も微笑んでくれた。



地道に重ねてきた努力は実るものなんだ。
どれだけ時間がかかっても…





あの時、諦めなくて良かったね。

監督はちゃんと見てたんだよ…
坂木の努力と成長を。





そして後半に出場する選手たちは、ロッカールームを出て行った。

最後に出て行く彼の背中を、私は軽く押したんだ。



彼が最高のプレーができますようにって…