私は彼を離すと、彼の目を見た。


「坂木は十分強いよ。
3年間、耐えてきたじゃん。
自信持ってよ。
絶対、この3年間は無駄じゃない。

まだチャンスは残ってるんでしょ?
可能性が1%でもあるなら、それにかけるのが坂木じゃないの?」







見上げた彼は、ちょうど逆行で、どんな表情をしてるのかわからないけれど、もう大丈夫だって思ったんだ。




ピー!!


笛の音のあと、聞こえてきた監督の声。




宿舎の屋上からは、ちょうど、練習場が見えた。






彼はここで何を思ってたんだろう…

彼が教えてくれなきゃわからない、彼だけの秘密だけど、いつか教えて欲しいな…






もしかしたら、明日の試合に坂木は出れなくて、落ちてしまうかもしれない。

だけど、それでも、彼はもう逃げることだけはしないんだろう…


また新しい道を見つけて、自分でつくって、その上を歩いていくんだろうね。