そして一人ずつ、マッサージをしていく。
人数が多いから一人にかけれる時間はすごく短いけど、その限られた時間の中で、少しでもいいマッサージをしようって毎日が勉強。


マッサージをすれば、わかるんだ。
どの選手がどれだけ頑張ってるかなんて、簡単に。



いつも先発に入ってる選手はもちろんガチガチ。
筋肉がもうちょっとで壊れそうなほど。

だけど、そのぐらい努力しなきゃ、いつも先発になんてなれるものじゃない。
少しでも状態が悪ければ、他のメンバーに変えられる。
どんなにうまい選手でも。

先発に選ばれるのはそれぐらい大変なこと。




だけど、いつも先発に選ばれる人の他にもう一人。

もしかしたら、その人たち以上に頑張ってるかもしれない。
今まで1回も試合に出ていない3年生。

彼は、推薦で入ってきて、1年生の時に怪我をして復帰したのはその1年後。
同輩たちから1年のハンデを持ちながら、一生懸命、追いつこうって必死になって頑張ってる。



「あんまりやり過ぎると、壊れちゃうよ。」



3日に1回は言う言葉。



「わかってる。でも時間がないから。」


それが彼の口癖だった。