宿舎に入った私は、がむしゃらに走りまわった。


彼を捜すというよりも、あいつの言葉を振り払うように…





「初めて好きになった女でさえ、あいつの事しか見てなくて。」


「初対面じゃない。10年前の4月に1回会ってる。」


「それが俺の初恋。」


「なのに、久しぶりに会ったら、全く覚えてないし、違う男見てるし。」





私が彼を見てる…?


それは、友達として?
仲間として?


それとも…


異性として……?





そんなの聞かなくてもわかってた。



私は彼が好きなんだ。





多分、初めて彼を見た、その時から。









「そんなの今更どーしろって言うのよ…」


私は落ち着くために、傍にあった階段に座った。