「あの憎たらしい小僧っ!」


「何だよそれ。」

「だって…」


「今はいい。」


あいつはまた私に被せて話し出した。


「それが俺の初恋。」

「…っ!!」

「なのに、久しぶりに会ったら、全く覚えてないし、違う男見てるし。」

「それはっ…」

「もし!!」


あいつは私に一言も喋らせてくれない。



「もし、俺が明日、あいつに勝ったら…
勝ったら、俺と付き合え。」


「そんなっ!!
ていうか、明日坂木は……

………!!」



「あいつがどうしたんだよ。」




私はとても重要な事を思い出した。


こんなとこで油売ってる暇なんてないっ!!





私は、あいつに背を向けて、もう一度宿舎に入った。



「おいっ!」



なんて叫んでるあいつを置いて。