パンッ




私は我を忘れて、目の前の人に手をあげていた。




「あんたのせいじゃないのっ!?
誰が怪我させたのよ!

どんな事があったって、感情にまかせて自分勝手なことしていいわけないじゃない!

坂木の何が悪いのよ!
注目されてようが、されてなかろうが、好きなスポーツやってるだけじゃないっ!!」


怒りがあまりにも大きくて、涙が溢れてきた。

こんな浅はかな思いが彼をどれだけ苦しめたかって考えたら、もう止まらなくて、
どんどん言葉が溢れてくる。



「あんたの初恋の人も、あんたのプレーから全部感じたんじゃない?
あんたが人間として最悪だってこと。

自分の事しか考えてなくて、自分が1番じゃなきゃ気がすまない。
そんなちっちゃい人を誰が好きになんてなる?

こっちのほうがふざけんじゃないわよっ!!
いつまでそんな子供みたいな考え持ってるわけ!?
いい加減、ちょっとは大人になってみれば!?

初対面でこんな事言うのも失礼だけど……

………!!!!」



え……?

何が起こってるの……?