「じゃあ逆に、」



ヤオイが何か良いいたずらを考えついたように
また、にかっと笑う。



「ん?」



「シュウは本名?」



「………まぁ、一応。
でも本当は、」

「漢字は?」



ヤオイは私の言葉を遮った。



「えっ?」



思わず聞き返してしまった。



「シュウって漢字は?」



「えっと……
哀愁の愁。」



「へぇ、かっこいいな。」



「ヤオイは?」



「うーん………」



ヤオイは考え始めた。

しばらく考えた後……


「夜を追うって書いて夜追。
変な名前でしょ?」



夜追はまたにかっと笑った。


うん、なんだろう。
この夜追の笑顔を見ると、汚れた心に春の風が吹いてくる。
暖かくて優しくて、なんだかボーッとしてしまう。

前の私が嘘に思えてくる。
ドキドキと高鳴る胸に動揺していた。