それまでの経由で今に至る。


安田は……
追いかけてこなかった。

期待なんかしてない。
わかってた、わかってるけど…


少しだけでも…立ち上がって見送るくらいしてくれてもいいじゃない……。


おぼろ気な、
私の心が醜い。


―あぁ、また悪い夢だ。
 もうこんな夢みたくないよ。




チュンチュン


鳥の囀(サエ)ずりと朝の日差しで目が覚めた。

唸りながら体をあげると、隣で無邪気に寝ている夜追がいた。



「…うぅん…。」



まだ眠い目を擦って少し体を伸ばした。

夜追は相変わらずすやすやと眠っている。


私は人差し指でぷにぷにと頬をつついた。
夜追は唸るだけで起きない。


今度は鼻を摘まんでみた。

すると息がだんだん出来なくなって……



「…っどぁぁぁ!!」



凄い声を出して、
勢いよく起きた。


私はクスクスと笑って、口の上に指を置いた。