2人は、偶然同じ年に生まれた。

2人は、偶然同じ学校に通っていた。

2人は、偶然同じクラスだった。


偶然はここまでで、接点など何一つなかった。

お互い、話したこともなければ、目があったことさえない。


2人の道は、交わるわけがなかった。

これまでがそうだったように、これからもずっと。


しかし、一つのビー玉が、それを変えてしまった。

いや、違った。彼、渡瀬斗貴が、このビー玉を拾ったことから始まった。

それは、もしかしたら、もっと前から始まっていたかのかもしれない。


クラスの1人が、ラムネを学校で飲んだところ…もっと前?

あるコンビニが、ラムネを仕入れたところ…もっと前?

とある製造会社が作り始めたところ…どこの誰とも知らないおじさんが、このラムネを発案したところ…

もしかしたら、もっと前かもしれない。

起こる出来事。その出来事一つ一つには、たくさんの人の何かが関わっていたりするわけで、この出来事も、地球上にたまたま起こった出来事の、何億分の1の出来事にすぎないんだろう。