深く溜め息をつくと、脳裏に新たな疑問が次々と湧き出てきた。


大翔が言う人造人間とやらが俺を監視をしていたのなら、学校にも必ず来たはず。


人格と記憶を埋め込んだ偽翼。クローンと言っても過言じゃない。


ということは、同じ校舎に二人の翼がいることになる。


それなのに翼が二人いるなどの話しや噂など俺の耳には届いていない。


本物の翼だって自分の偽者がいたら黙っていないはずだ。


誰も翼が二人いるなど知らない。本人でさえも気付いていない。


つまり結論は一つ。


「大翔、本物の翼はどこにいるんだ?」


本物を隔離するしか他はない。


大翔は口の両端を吊り上げ目を細めると、


「翼君なら消しといたよ」