監督が、リアル宮崎が、俺の名前を呼んだ。


はっきりと、丁寧に「光」って。


頭の中では、絶景のアルプスの山頂に赤いワンピースを着た一人の少女が「宮崎が呼んだ!宮崎が呼んだわ!」と叫びながら踊り狂っている。


少女につられてヤギ達も「おまっ、そんな跳躍力ねえだろ!」とツッコミたくなるくらい跳びはねる。


シャンシャンシャンと鐘の音と甲高い少女の声が素晴らしいシンフォニーとなり、アルプスの山々に木霊する。


なんか癒されるな。最後の楽園だ。


「それでは、当オーディションに応募された理由を教えてください」


「え? あ、はい。魔法使いが勝手に応募しました」


最後の楽園が地獄となった。


「アハハ……真面目に答えてくれますか?」


満面の苦笑いを浮かべる監督。