俺超ファンなんですけど! めっちゃサイン欲しいんですけど!


心臓がバクバクうるさい。


外に漏れてるんじゃないかって思うくらい、熱いビートを奏でている。


特別審査員がいるとは聞いていたが、宮崎駿子監督なんて反則だぞコンチクショー。


面接とは違う緊張感が身体全体に染み渡ると、椅子に腰掛け微笑みかけていた監督が咳ばらいをした。


う、動いた! 動いたよお母さーーーん!


本物だ。正真正銘リアル宮崎だ。


リアル宮崎の左右に手下ども(審査員)が早く座れよオーラをガンガン送ってくるがそんなもんは完全無視!


リアル宮崎を見る機会など、これを逃したら二度とチャンスは巡って来ない。


今このうちに、網膜にてリアル宮崎を焼き付けておかねばならぬ。ならぬのだ。


挨拶も無しにガン見する俺に、リアル宮崎は苦笑い。


それでも視線を逸らさない俺に痺れを切らし、手下どもが「席に着け」と命令した。