楽しい時間はあっという間に過ぎていき、夕方になる。


夕凪の岸部。茜色の空と海を二人で眺める。


「そろそろ冷えるから帰ろっか」


俺の一言に加奈子ちゃんが頷き、帰り道をまた自転車に乗りながら進んでいくのだ。


今度は片手でなく、両手で俺の身体をしっかりと抱きしめる。


背中越しに加奈子ちゃんの体温を感じてドキドキする俺。


それを知ってか知らずか、加奈子ちゃんは俺の耳元でそっと囁くのだ。


「光君と、バイバイしたくないな」


そして俺達は―――






「ぬふふ……まさしく至高な展開」


「光? 大丈夫なの?」