「だから保険くらい入った方が良いって言ったのに」
「なんでこんなに暑いのに風邪なんかひくかな」
ケンとギンはこちらを見ないままに言った。
「お前らはその病人の部屋に何しに来たんだ?」
二人はベットに横になる僕を尻目に、格闘ゲームの対戦に熱中していた。
「そんな言い方は良く無いよ、お見舞いに来たんだから」
「少しは見舞いっぽくしてくれよ」
テーブルの上には二人からの見舞いの品としてのポテルカのしお味とカールのチーズ味が置かれていた。見舞いの品にこれらのスナック菓子を貰って喜ぶ人間が居るのだろうか。
「あっ!ちょっと」
テレビ画面ではギンの使うカンフー使いが、ケンの使うプロレスラーに投げ技のコンボを決められていた。
「あー、ちょっともう一回」
そのままKOされたギンは再戦を申し出た。
「もう帰ってよ...」
二人に僕のつぶやきは届かなかった。