僕らが二人を送り届けるとすっかり辺り暗くなっていた。
「じゃ、今度ライブ見にきてね」
「楽しみにしてる」
「約束だ」
ギンはデイジーと指切りをしている。
「それじゃ、今日はありがとね」
「うん、楽しかったよ」
「帰ったら連絡するね」
僕とギンはもう一度バンに乗り込み、ゆきなとデイジーにお休みを言った。

「固定客一人出来たね」
ハンドルを片手で握りながらギンが言った。
「そんな事考えてたのか、お前性格悪いな」
「だってユウちゃんノルマに貢献しないじゃん」
「オレはあんまり誰彼構わず呼ぶのは好きじゃ無いの」
「ユッキーは特別か」
ギンは少し不敵に言った。
僕より先にゆきなをあだ名で呼んだ事を咎める前に、ギンは「何か飲もう」と続けると車を自販機の脇に停めた。