「なんとか夜までには間に合ったな」
「日本海側だったら日没が見れたのにな」
夕暮れ時の海水浴場は殆ど人も居なくなり、何組かのグループの声が聞こえるだけだった。
傾いた太陽は波や砂浜や海の家等全てを淡いオレンジ色に染めていた。
「海きれい...」
デイジーは静かに呟いた。
「今度は日没を見に行こう。福井辺りがいいかな」
デイジーは目を輝かせて頷く。
「水着持参な」
ギンは僕とゆきなの方を振り向きながら言った。
「来て良かったね」
「うん、優しい気持ちになる」
ゆきなが僕の手をそっと握った時、僕は出来るだけ緊張が伝わらない様に装った。