「と言う様な事があった」
「頭からケツまでユウちゃんらしい」
スタジオでの練習の前に、僕はギンに先日のゆきなの部屋での事を話していた。何故そんな話をしたのかはわからない。
「でも、その話聞くと最後の所が気になるね」
「そうかな?」
「ユウちゃん、お前はそうやって思いたくないだけなんだよ」
オレが確かめてやる。元ホストだからなのかはわからないが、2歳も年下の癖にギンの一言は妙に力強かった。
「練習終わったら電話するぞ」
その決断の早さに僕は戸惑いを隠せなかった。

「オッス!早いなお前ら」
集合時間の5分前に巧さんがスタジオに入って来た。ケンはきっと遅刻だ。
「ん?何の話してたんだ?」
「ドMのチキンには関係無い話だ」
「オイ!ギンどう言う事だ!」
巧さんが言い返すと同時に巧さんの手から紙袋がこぼれ落ちた。
巧さんは慌てて紙袋を拾ったが、紙袋から飛び出したケースのパッケージに『痴女ナース 手コキ4時間』と書いてあるのを僕らは見逃さなかった。
「巧さんには言うんじゃねえぞ」
僕は念押しでギンに耳打ちした。
ギンは巧さんを見つめながら静かに頷いた。