「そろそろ帰るか。」

お店に来てから、
約2時間が経っていた。

「そうだね。」

手を繋いで立ち上がると、
「見せつけかよ。」って
川口さんのヤキモチ。

「いい加減結婚してくださいよ?」

「うるせぇな。
人のこと気にしてんじゃねぇ。」

「俺等は死ぬまで一緒っすから。」

にんまり笑う彩斗が可愛い。

「はいはい。早く帰れよ。
店、閉めれねぇだろーが。」

ハハハッと笑う川口さん。

ふたりは親子みたいに仲が良い。
ちょっぴり、羨ましかった。

出入り口につき、
「また来ますね。」って会釈をする彩斗に
私もお辞儀をした。

「美味しかったです。」

「彩斗に似合わない、良い子だな。」

川口さんはまた、笑ってた。


駐車場に歩く道のり。

車まで、ほんの10歩に満たない距離。


「あ、千恵ちゃん。ちょっと待て。」

川口さんの声がした。