無言の電話。
私の嗚咽だけが響く。

「ハァ…」

彩斗の溜息。
背筋がゾクリとする。

「どう、されたい?」

不機嫌そうだった彩斗の声が、
笑顔の時の声になる。

でも、安心なんか出来なかった。

大抵こういうのって
次に何かが起こる合図だから…

「どう…って?」

「お前、俺に服従する?
それが嫌なら、別れる?」

「…やだ…。」

心臓が大きく脈を打つ。
1回1回が大きいくせに、
そのくせ速いだなんて卑怯だ。

苦しい…


「取り合えず、お前こっち来い。
迎えには行かねぇ。
今すぐ、家来い。」

声が。
言葉が。
態度が。
雰囲気が。

怖くて、仕方なかった。