「今日、会える?」
「ごめん…。
今日、親と出掛けるんだぁ。」
「そっか。じゃぁな。」
寂しそうな彩斗の声。
涙が滲む。
自分の部屋のベッドの中で、
私は何度も
彩斗の誘いを断った。
会わなくなってから、1週間とちょっと。
気持ちの中の迷いが
どうしても邪魔で。
彩斗に会ったら聞いてしまいそうで。
会わなくて済むように、
私は毎日口実を考えた。
「迷いがあるなら別れなよ」
そう、地元のメンツは言ったけど
それも私には出来なかった。
彩斗が居なくなったら、
私は本当にここに居る意味を無くしそうで。
…私、ズルイね。やっぱり
彩斗は私の変化に気づいていたのかな。
何回断っても、
態度を変えることはしなかった。
いつもと同じ様に
同じ口調で、接してくれた。
だからなのか
私は彩斗の優しさに甘えてた。
自分の中の不安や迷いは
彩斗に会えば吹っ飛ぶこと、
ちゃんと分かってたのに
その話題に触れてしまいそうな自分が怖くて
彩斗を傷つけたと思う。