「家まで送ってってやるよ。」

家の近くのファミレスが見えた頃
彩斗は私の手を握った。

「ううん、大丈夫。
親に見つかるとまずいから…さ。」

握られた手を振り払った。

「…何かあったら言えよ?
口で言わなきゃ分かんねぇんだし。」

ココスの駐車場で降り、
私は笑顔で彩斗を見送る。

薄っすらと涙が浮かんでいた。


頭の中は、やっぱり彩斗と亜美ちゃん。


ふたりの世界の存在お知ったから。
彩斗にとっての
彼女の重さが分かったから。

何故だか自分が部外者のような気がした。


家に帰って、親に怒られても
頭の中は空っぽで
しばらく私は、何も考えることが出来なかった。