「そ…っか。」

尚輝から話を聞き、
私は心の中が空っぽになった。

涙さえ、出てこない。

「お前は100%そうなるとは限らんし
居場所を奪おうとしてるわけじゃねぇけど
でも、あそこはそういうとこだ。」

「私は、居るよ。…あそこしか無いし。」

「ま、お前が強く居りゃ
何も起きねぇだろ、きっとな。」

ニッと笑い、ポッケからマイセンを取り出す。

今、この匂いを感じたら
泣いちゃうじゃん…

頭の中が彩斗でいっぱいになって、
不安と彩斗の寂しさを癒せない自分が
物凄く悲しかった。

彩斗の香りを漂わせているのは
彩斗では無いのに、
涙が止まらなかった…


「悪ぃ。遅くなった。」

彩斗が笑ってこっちに来る。