「実は俺も独りなんだよね。
今日集会あったけど、遅刻してさ。
今から入ってくの何かと面倒だし…?」

“集会”って言葉が似合わない見た目。
ヤンキーでも
爽やか系でもない。
所謂ギャル男からお兄系みたいな感じ。

「私のとこ、集会ない…ですよ。」

「君もヤンキー?
集会無いって楽だねぇ。」

屈託無く笑う、
子供みたいな笑顔。

「俺さ、尚輝っつーの。」

「あ、えっと…私、千恵…ね?」

ぎこちない会話はすぐに終わった。
結構面白いキャラの尚輝が
私のツボだった。

「彼氏、渡辺さんとこ行ったんだっけ?
んならさ、筋の人間なん?」

「お父さんは…ね。
彼氏はどうなのかよく分かんない。」

「おっかねぇなぁ。」

「そう?お父さんも彼氏も優しいよ。」

茶色の髪に指で逆毛をつくり
セットをしながら私の話を聞く。

器用なのか、だらしが無いのか…

「千恵って誰んとこ居んの?
さっきから気になってたんだよね。」

「弘樹先輩…。えっと…
関谷弘樹って人のところ。」

言った瞬間、尚輝は目を丸くした。