入り口付近…なのかな。
どこを見ても、強面の人ばっかり。
人相が悪いったらありゃしない。

「ねぇ、ここ…怖い。」

途中で私は足を止めた。

「んなとこで置いてけねぇだろ。」

「ヤダ…。ねぇ、どこ行くの?」

「お前は俺と一緒に居りゃいいの。
別にお前には何もねぇよ。」

力で敵わない私は、
彩斗に引っ張られる感じで
再び歩き始める破目になった。


「おー、彩斗。久し振りだな。」

彩斗に話し掛けるのは、
漫画とかドラマに出てくる
そのままヤクザ!!!って感じの人じゃない。

でも、サラリーマンって感じでもない。

…取り合えず、威圧感が凄かった。

「渡辺さん、どこ居るか分かります?」

「今日はこっち居ねぇよ。
地元の餓鬼等んとこ居んだろ。」

「そうっすか。」

会釈をして、私の手を引き、
さっきの道を引き返した。

「渡辺さんって誰?」

「親父の組と組んでる別の組の頭。
色々面倒見てもらってんだよ。」

「彩斗の2人目のお父さん?」

「ま、そんなとこだな。」

見えた八重歯に安心する。
お父さんが会話に出て来た時、
彩斗は決して良い顔をしないから。