リビング…なのかな?を通過し、
モダンな家具でまとめられた部屋に
足を踏み入れる。

奥のほうに眼鏡をかけた
サラリーマン風の男が振り返った。

「何しに来た?」

お父さん…なのかな。
でも、組の人っぽい顔してない。

「頼み事。」

「何だ。」

いざこざがあるのかな。
親子の会話っぽくなく聞こえた。

「コイツ、俺の女。
んで、アンタ等も見張って。」


「…え?」

間抜けな声を出したのは、私。

そんな私の頭を撫で
抱き寄せる。

「俺等の下に居んだろ?弘樹んとこ。
そこに居る奴だから…色々、な。」

「お前の役目だろ。」

「違ぇよ。
俺じゃどうにもなんねぇこと、
あそこあんだろーが。」

話してる意味が分からなかった。

「まだ引きずってんのか。」

「黙れ。」

お父さんが笑うと、
彩斗は眉間にシワを寄せて
近くのテーブルを蹴飛ばした。