彩斗と会う時は
いつも彩斗の家に直行。

外食だってしたことがない。

フワフワの黒いソファに
腰をかけるとまた、沈む。
もうその感覚にも慣れ始めた。

「お前オレンジ?」

黒い冷蔵庫を開けながら、
ポンジュースをちらつかせる。

「それがいい。」

綺麗な透明のグラスに注がれた
濃いオレンジのオレンジジュース。

目の前に置かれた
沢山のお菓子が盛られてるお皿に
手を伸ばして微笑んだ。

「可愛い。」

ゴツゴツの手で
頭を撫でられる感覚が嬉しすぎる。


「そうだ。
彩斗ってさ?バックだったんだね。
全然知らなかった。」

「あぁ、でも自分から入ったわけじゃねぇよ。
つか俺、組には入ってねぇし。」

「バックって筋の人ばっかじゃないの?」

「いつの時代の話だよ。」

白い金髪が揺れる。
彩斗の癖が好きだった。
前髪を引っ張る癖。

「じゃ、彩斗は組とは無縁?」

「そうでもねぇよ。
お前のバック、親父等だし。」

あまりにも平然と言うもんだから、
それほど凄いことでも無い気がした。

「お父さん組の人なんだ。」

「あぁ。TOP。」

私の嫌いなレモンティーをすすった。