「弘樹先輩、私帰るわ。
明日、学校あるし…親怒るだろし。」
時刻は23時を過ぎ。
…今から帰って、
怒られるなんていう野暮なことは
本当ならしたくないんだけど。
「いいじゃん。休めよ。
俺ん家か、ユウの家泊まってけ。」
滅多に笑わない先輩は、
私と美月にだけは優しかった。
「ユウ、最近怖いから先輩ん家にするー。」
「了解。」
私の頭を軽く撫でる。
それだけで心地よくなれた。
0時を過ぎた頃だろうか。
もうほとんどの人が
潰れていて、
フロア内で倒れる奴が目立ち始める。
「そろそろ帰るか。…な?」
少し前、薬を入れた先輩。
効き目が薄くなってきているのか
何食わぬ感じで私の肩を抱いて
一緒に帰宅した。
落書きと煙草であいた穴だらけの
ソファが私の定位置。
「ここで寝るね?」
「ん?…あぁ。」
2人してスウェットに着替え、
おやすみのキスをする。
だけど、弘樹先輩には彼女が居たし
別に恋愛感情だって無かった。
…外人の挨拶程度のこと。