「五穂………。」
ふいに、炎尾が呟いた。
「…はい………。」
五穂が見上げると、その銀狐の横顔は、これ以上無いくらい、凛々しかった。
「………今、分かったのだ…。
俺に宿った力は…
お前を守る為にある……。」
無数の尾が、五穂の身体を包み込んだ。
「お前が信じてくれるだけで…俺は強くなる…。
お前が望めば…
…俺は負けぬ…。」
五穂はまた、炎尾の横顔を見上げた。
「…信じております…。
炎尾様は…必ず勝ちます…。
そして…
五穂を守って下さります…。」
彼女を見つめる銀狐は、優しく微笑んだ…
ように見えた。