*
パタン
まだ、ドキドキする。
扉の向こうに蓮山がいると思うだけで、
胸がぎゅーっと締め付けられる想いだ。
ユリ子は指先で唇のラインをなぞる。
不覚にもキスの感覚を、
思い出す。
「柔らかかった」
言葉にして、恥ずかしくなった。
私、今すごくえっちだ。
キス、だけでこんなにドキドキする。
ユリ子は、蓮山がどう思っているのか気になった。
すると、少し冷静になる。
ひとりで舞い上がっているだけかもしれない。
お風呂、ふたりで入る気だったみたいな返事をしたけど。
覚悟してるって言ったのに、
呆れられたかな?
ユリ子はシャワーをうんと開けて、
勢いよく流した。