「お風呂、貸していただけるかしら?」
「へ!?」
先に沈黙を破ったのはユリ子だった。
それに間抜けな返事を返した蓮山。
「お風呂?ふたりだと狭いよ」
「ひ、ひとりで入りますっ」
「え?ああ、ごめん。そうだよな、」
蓮山は髪の毛を掻き回して、冷静になれと呪文をかけた。
「そこのドアあけたら直ぐ脱衣場でその奥が風呂だから。脱衣場に俺のシャツとジャージあるから着ていいよ」
ユリ子はじっと蓮山をみつめた。
蓮山とユリ子は明らかに大きさが違う。
そう言えば今着ているジャージと言え、蓮山のサイズより小さめだ。
「俺、高校入ってすぐ成長期ですごい伸びたんだよ。洋服も下の方が小さめかも」
ユリ子の蓮山とジャージを行き来した視線を読み取った蓮山は、ピースした。
「はい。承知しました!」
ユリ子はピースを返して、風呂場へ入った。
蓮山の顔を直視できない。