「いただきまーす」

「い、いただきますっ」


蓮山が両手を合わせて言うと、
ユリ子も見よう見まねで手を合わせて言った。



ズルズルと音をたてて勢いよくラーメンを流し込む蓮山。

それに対して、ユリ子は。

「あれ?食わないの?」


「猫舌なんです」

ユリ子は困ったように笑った。



「貸してみ?」

蓮山はラーメンをふーふーと、して冷ました。

「ご、ごめんなさい」

ユリ子はまた恥ずかしそうに謝る。


「はい、どうぞ」

冷ましたラーメンをユリ子に渡す。

流石に食べさせるのもな、と思ったから。


「ありがとう」

「い、いやぁ、どういたしまして」

この笑顔のためならなんでもしたいな、なんて思わせる。


「?なにか顔についているかしら?」

「いや、別に」

素直じゃないな、俺。

蓮山はそっぽを向く。


「?いただきまーす」

ユリ子が箸にかかったラーメンをくわえたまま。

時がとまった。



「どうした?そのままズルルって・・・・・・まさか」





「すすれない〜〜〜」





「イタリア人か!」


イタリア人はすすることができないって言われるが、ユリ子も出来ないとは。

息をするのと、すすることが同時にできないのだ。



蓮山はスプーンを用意した。





食べ終わったのはそれから30分後。



「おいしかったぁ!で、次はなにかしら?」


「ん?」


「今のオードブルでしょう?」