近づいてきた女の姿。
だれ?
ユリ子の知らない蓮山がいて当たり前なのに。
蓮山が遠くに感じた。
ユリ子は目をすぐに離せばよかったと後悔する。
蓮山が女の手を取りエスコートする様子がはっきりとみえた。
「・・・・・・様?お嬢様!」
「っ!」
「お体が優れないのですか?」
「そんなことないわ。急に話しかけないで。心臓に悪い」
ユリ子は冷たくあしらう。
「申し訳ありません」
椎名の謝る声に、ユリ子は思い直す。
「違うの。私がいけなかったわ。・・・・・・屋敷に戻らなくて平気なの?」
ユリ子はすぐに話題を変えた。
椎名が滅相もないと言い、自分が悪いと責めるのが嫌なのだ。
「ええ、お嬢様がいない今、お屋敷は暇で仕方ありません」
「そう・・・・・・」